コーヒー豆が宇宙へ!?

#アグロフォレストリー #アナエロビック #フェアトレード #宇宙コーヒー #成層圏コーヒー

 みなさん、こんにちは!FARMERS PASSIONの伊藤です。じめじめした日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

 タイトルにもある通り、この度FARMERS PASSIONのコーヒー豆が、作り手の池島やラジさんよりも先に成層圏を旅し、青く美しい地球を見下ろして、無事に帰ってきました!可愛い子には旅をさせよ、、、なんて言いますが、我が子のように大切に育ててきた、コーヒー豆が先に(ほぼ)宇宙(※1)へ行ってしまった!冗談みたいな本当のお話です。

 端的に説明すれば、ご縁があって、ヘリウム気球を使った成層圏往復便サービス「shuttleD」”シャトルド”(※2)のプロジェクトに参加させていただき、FARMERS PASSIONの①コーヒーチェリー ②コーヒー生豆、➂パーチメント(種子)、④ワインイースト、⑤ネパールの酵母菌「ムルチャ」※3、の成層圏への打ち上げと回収をしていただきました。打ち上げは、2025年6月19日の午後1時半、高知県の東南室戸市から行われ、約27000m程度まで上昇した後、無事にパラシュートで海上に落下、回収されました。

気球の打ち上げ準備をする様子

打ち上げたもの今後の活用方法
①コーヒーチェリー未定
②コーヒー生豆未定
➂パーチメント(種子)発芽させ、「宇宙コーヒー」を栽培する
④ワインイーストアナエロビックコーヒー・ワインを精製する
⑤ムルチャアナエロビックコーヒー・ワインを精製する

コーヒーは種子まきをしてから収穫までに3〜4年はかかるので、➂の「宇宙コーヒー」が実際にみなさんのお手元に届けるまでには時間がかかりますが、④⑤のアナエロビック(※4)コーヒーは、今年秋頃には、完成するので、年内販売予定です!

我が子」を旅させた「親心」は…?

打ち上げ前の実験モジュールと弊社の旗

イケシマさんは、このお話をいただいた時、どんな気持ちだったの?

僕は宙大好きだから、「ありがとう!」っていう感じ。

なんで宇宙が好きなの?

なんでだろう。僕は好きなんだよね。

宇宙ってなんだか夢があるから僕も好きだよ。科学的にはいろいろ解明されているけれど、あまりにも壮大すぎて考え出すと不思議な気持ちになるんだよね。イケシマさんは宇宙に行ってみたい?

もちろん、行ってみたいよ!
今回のこの話を聞いた人たちの反応は2通りに別れると思うんだ。 「成層圏に行ったことのある珈琲?それが何?何か変わるの?」っていうタイプと、「成層圏を旅してきたコーヒーって素敵!」っていうタイプ。僕は後者。

成層圏に行ったことで、珈琲豆に何か科学的な変化があるかはわからないものね。

そう。それでも僕は、ロマンを感じちゃう。

分かるなぁ。ラジさんやウビットはなんて言ってたの?

「すげぇな~」って言ってたよ。あいつらにとっては、「エベレスト」がとても特別な場所だから、そこに持っていこうと考えたことはあるらしい。「エベレストの前に、宇宙に行っちゃったよ!」って言ってたよ。

なるほど!エベレストは、ネパール国民にとって国の誇りであり、神聖な場所なんだよね。エベレストに登頂したことのある珈琲豆もロマンがあるね!いつかやってみたいね。

宇宙に行って何か変わる!?今後の見通し

上昇中の実験モジュール

高度27kmから見下ろす地球

上の写真が、成層圏から見た地球の写真だよね。この画像を見てどう思った?

最高だったよ!

「地球は青かった」を思い出すよね!

本当にそうだよ!ワクワクするよね!

今回、他の農園さんのコーヒーチェリーは成層圏で飛び出してしまった

今後のアナエロビックコーヒー、ワインの精製について詳しく教えて下さい!

成層圏を旅したワインイースト、ムルチャの二つの菌を使って発酵を行い、コーヒーとミカンワインを精製するよ。成層圏に行ったことによる科学的影響を調べるために、成層圏に行っていない、通常のワインイースト、ムルチャでもコーヒーとミカンワインを精製して、データをとって分析をする予定なんだ。

成層圏の環境想定される食品への影響
①気圧が非常に低い(真空に近い)脱水、膨張、組織破壊
②気温が極端に低い(-50度~ー70度)冷凍、テクスチャ変化
➂強い紫外線、宇宙線色素分解、味の変化、栄養価低下の可能性
④酸素濃度が低い酸化反応が抑制されることもある

上の表にあるように、成層圏は地上とは全く異なる環境だから、いろいろな変化が起きる可能性があるよね。

これまで他の民間企業や大学、研究機関が行った実験では、成層圏酵母を用いたビールが、「よりフルーティーでスパイシー」に、パンは、「より甘く香り高く、扱いやすい生地に」なったらしいんだ。

そうなんだ!じゃあ、ミカンワインやコーヒーもフルーティーになるのかな?

ははは、どうかな?やっぱり、ロマンだけじゃなくて、宇宙に行ったことによる科学的な変化を見つけたい。味が大きく変わるかはわからないけど、ポリフェノール含有量とか、カフェイン含有量とか、分かりやすい変化があったらいいな。いずれにしろ、ワクワクしながらやっていこうと思うよ。

うん!僕もとってもワクワクしてきた。試飲する日が楽しみだな~!!

残念ながら、ワインの方は販売のライセンスが取得できていないので、皆さんにお届けできるめどはたっていませんが、実験の結果はお知らせすることができます。読者の皆さんも、今後の動向を楽しみにお待ちくださいね!

脚注:

※1 「成層圏」は高度10km~50kmで、地球の大気圏内であり、正確には宇宙ではない。宇宙空間と呼ばれるのは、一般的に高度100km以上。よって「ほぼ」宇宙と表現している。

※2 “shuttleD”(シャトルド)とは?
概要:株式会社GOCCO.が提供する成層圏(高度30km)への往復バルーンサービスの名称。巨大なヘリウム気球(スペースバルーン)に実験モジュールを装着し、成層圏へ上昇させ,成層圏到達後に海上へパラシュート降下→回収までを行うサービス。微気圧、極低温(−70 °C)など、地上では再現できない成層圏ならではの環境での科学実験・フードテック開発、映像制作、教育など多彩な用途に応用でき、今後の宇宙技術やフードイノベーションにおいて注目を集めている。

https://gocco.co.jp

※3 ムルチャとは?

「ムルチャ(Murcha)」とは、ネパールやヒマラヤ地域で伝統的に使われている天然の発酵スターター(発酵種)。特に、チャン(chhaang)やトンバ(tongba)といった発酵酒や飲料の製造に欠かせない存在。

※4 アナエロビックコーヒーとは?
酸素のない環境で、活動する微生物「嫌気性菌」を使った「アナエロビック発酵」のプロセスを経たコーヒー。密閉タンクで酸素を遮断して豆を発酵させる。アナエロビックコーヒーは、味わいに複雑さやフルーティーさが出る特徴があり、最近のスペシャリティーコーヒーで業界で注目を集めている。